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1月になると、よく七草という言葉を耳にすることがあるかと思います。また、七草自体は知らなくても、七草粥を食べたことがある方は多いのではないでしょうか。また、七草についてもしかすると次のような疑問をお持ちかもしれません。
七草ってなに?七つの草?
春の七草と言うけれど、夏や秋や冬にはないのかしら?
七草粥はいつ食べるの?
今回の記事では、これらの疑問を解決するため、七草について徹底的にわかりやすく解説していきます。これを読んであなたも物知りにまた一歩近づきましょう!それでは、今回もよろしくお願いいたします!
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七草とは・春の七草
七草は、ななくさと読みます。七草とは、七種類の草・野菜の総称です。一般的に私たちが七草と言う場合、春の七草を指すことが多いように思われます。
春の七草の七種類は、芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)の七つです。セリはセリ科、ナズナ・スズナ・スズシロはアブラナ科、ゴギョウ・ホトケノザはキク科、ハコベラはナデシコ科の植物です。なお、現代においては、スズナは蕪(カブ)、スズシロは大根(ダイコン)と呼ばれていますが、呼び名が異なるだけで同じものです。また、ナズナは別名ぺんぺん草とも言います。
では、なぜこの七つが春の七草として選ばれているのでしょうか。実は、その理由は詳しくわかっていません。しかし、1360年代に成立した四辻善成著『河海抄』(かかいしょう)において、この七種類の野草が紹介されたことが、現代の七草となったきっかけではないかと言われています。
春以外(夏・秋・冬)の七草
春の七草についてこれまで見てきました。では、春以外の季節、すなわち夏や秋、冬にも、その季節を代表する七草と呼ばれるものが存在していることをご存じでしょうか。
まず、夏の七草は、春の七草のように古くから言い伝えられてきたわけではなく、近年に独立行政法人や植物学者、政治家などが独自に選んだものとなっています。そのため、夏の七草には様々な七草がありますが、ここではそのうちの2つをあげます。
1つめの夏の七草は、昭和初期に勧修寺経雄が「涼しさは よし い おもだか ひつじぐさ はちす かわほね さぎそうの花」という和歌を詠んだことに由来するものです。この和歌に出てくる七草を整理すると、葦(よし)、藺(い)、沢瀉(おもだか)、未草(ひつじぐさ)、蓮(はちす)、河骨(かわほね)、鷺草(さぎそう)の七つです。
2つめの夏の七草は、日本学術振興会学術部・野生植物活用研究小委員会が選んだものです。それは、藜(あかざ)、猪子槌(いのこづち)、莧(ひゆ)、滑莧(すべりひゆ)、白詰草(しろつめくさ)、姫女菀(ひめじょおん)、露草(つゆくさ)の七つです。
春の七草,秋の七草ほど有名ではありませんが、確かに「夏の七草」が存在します。
レファレンス協同データベース:「夏の七草」があると聞いたのだが、どのようなものか。より引用
いくつかのパターンがあり、当館で確実に由来まで確認できたものは次のものです。
1.アカザ
2.イノコズチ
3.ヒユ
4.スベリヒユ
5.シロツメクサ
6.ヒメジョオン
7.ツユクサ
これは第二次世界大戦中、日本学術振興会学術部・野生植物活用研究小委員会が選定した夏の七草です。
選定の由来について、『私の植物散歩』(木村陽二郎/著 筑摩書房 1987)には次の記載があります。(p77)
「(前略)第二次世界大戦も終わりに近づいた昭和二十年六月二十日発行の『週報』(四四七・八号)に「新選・夏の七草」というタイトルで、はじめて夏の七草が発表されている。(中略)
「夏の七草」というのも風流なものではなく、アカザ、イノコズチ、ヒユ、スベリヒユ、シロツメクサ、ヒメジョオン、ツユクサといった、焼跡にもたくましく生える
食べられる植物があげられていて、とても現在はやりの山菜などという楽しいものではない。
食糧が極度に不足し、空襲の合間を縫っては食物の買い出しに苦労していた頃である。(後略)」
次に、秋の七草は、奈良時代に編纂された万葉集において山上憶良が詠んだ和歌が由来とされています。
■秋の七草の由来
万葉集はご存知かと思います。
奈良時代末期頃に成立された約4500種の歌を収めた歌集です。
その中に収録されている奈良時代の歌人の山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ下記の2首の歌が由来とされています。・秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
インターネット花キューピット:万葉集で詠まれた草花~秋の七草のご紹介~より引用
・萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝貌の花
上記の歌における朝貌の花は、諸説ありますが桔梗(ききょう)のことであるとする説が有力のようです。以上を整理すると、秋の七草は、萩(はぎ)、尾花(おばな)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)の七つです。
最後に、冬の七草は、こちらも諸説があり、様々な七草が存在しています。ここではそのうちの1つとして、冬至における七種(七草)をご紹介します。
冬至については、以下の記事でしっかりと説明していますので、合わせてご覧いただければと思います。
さて、冬至の七種(七草)とは、南瓜(かぼちゃ)、蓮根(れんこん)、人参(にんじん)、銀杏(ぎんなん)、金柑(きんかん)、寒天(かんてん)、饂飩(うどん)の七つです。なお、カボチャはナンキン、ウドンはウンドンと読むことができるため、七草全てに「ん」が2つ入っていますね。これは、運が重なっており、非常に縁起の良い食べ物として捉えられているようです。
七草粥とは・由来・食べる目的・いつ食べる?
これまでは七草とは何かについて説明をしてきました。では、我々がよく耳にする七草粥(ななくさがゆ)とはどういうものでしょうか。七草粥とは、先ほど解説した春の七草を入れたお粥のことです。七草粥は、正月行事として、1月7日の朝に食べられることが多いです。
七草粥をお正月に食べる理由としては、1年の無病息災を願うためや、お正月におせち料理などの豪華な食事をとったことで弱った胃腸を休めるため、とされています。お粥はお腹に優しく、胃腸へのダメージも少ないです。また、七草には栄養が豊富にありますので、七草粥は疲れた胃腸に最適な食事となっています。
お正月が出てきましたので、以下の記事も合わせてご覧いただくとより知識が深まります。
さてここで、七草粥を食べるといった風習の由来は一体どこにあるのでしょうか。古代中国では、人日という節句に、七種類の野菜を入れた汁物を食べる七種菜羹(しちしゅさいこう)という風習がありました。一方で、当時の日本では、若菜を摘みその力をいただく若菜摘み(わかなつみ)という風習が存在していました。これらの風習が融合し、現在の七草粥を食べるといった慣習になったと考えられています。
まとめ
七草についてのまとめです!
①七草とは、七種類の草・野菜の総称。一般的七草と言う場合、春の七草を指すことが多い。春の七草の七種類は、芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)の七つ
②この七つが春の七草として選ばれている理由は詳細は不明だが、1360年代の四辻善成著『河海抄』(かかいしょう)において、この七種類の野草が紹介されたことが、現代の七草となったきっかけではないかと言われている
③夏や秋、冬にも、その季節を代表する七草と呼ばれるものが存在している
④夏の七草は、近年に独立行政法人や植物学者、政治家などが独自に選んだもの。そのため、夏の七草には様々な七草がある。1つめの夏の七草は、昭和初期に勧修寺経雄の和歌に由来する、葦(よし)、藺(い)、沢瀉(おもだか)、未草(ひつじぐさ)、蓮(はちす)、河骨(かわほね)、鷺草(さぎそう)の七つ。2つめの夏の七草は、日本学術振興会学術部・野生植物活用研究小委員会が選んだ、藜(あかざ)、猪子槌(いのこづち)、莧(ひゆ)、滑莧(すべりひゆ)、白詰草(しろつめくさ)、姫女菀(ひめじょおん)、露草(つゆくさ)の七つ
⑤秋の七草は、奈良時代に編纂された万葉集において山上憶良が詠んだ和歌が由来で、萩(はぎ)、尾花(おばな)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)の七つ
⑥冬の七草も諸説があり、様々な七草が存在。そのうちの1つとして、冬至における七種(七草)は、南瓜(かぼちゃ)、蓮根(れんこん)、人参(にんじん)、銀杏(ぎんなん)、金柑(きんかん)、寒天(かんてん)、饂飩(うどん)の七つ
⑦七草粥とは、春の七草を入れたお粥のこと。七草粥は、正月行事として、1月7日の朝に食べられることが多い。1年の無病息災を願うためや、お正月におせち料理などの豪華な食事をとったことで弱った胃腸を休めるために食べられる
⑧七草粥を食べる風習の由来は、古代中国における七種類の野菜を入れた汁物を食べる七種菜羹(しちしゅさいこう)という風習と、当時の日本における若菜を摘みその力をいただく若菜摘み(わかなつみ)という風習が融合し、現在の七草粥を食べる慣習になった
ー今回の記事は以上です。
少しでも皆様のお役にたてたなら幸いです。ここまでご覧いただき誠にありがとうございました。
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